外壁塗装の塗り回数が多い少ないの違いは何?
言われてみると勿論3回よりも4回、4回よりも5回のが良いのでは無いかと思う部分があるかと思います。回数を増やしたらその分効果も強まると思われがちなのですが、塗装の塗る回数の多さでメリットが得られるかというと必ずしもそうではありません。回数を多くしたら長持ちします、塗膜は厚い方がいい、などの話を聞いた方もいるかと思いますが、回数に騙されず失敗の無い塗装にするためにここから考えていきます。
まず基本的な塗装の回数を簡単にご説明します。くどいと思いますが外壁塗装の塗り回数は下塗り・中塗り・上塗りの3回が基本とされています。なぜ3回塗りなのか、それはしっかりと効果が効果が発揮できる塗料の塗り回数を、各メーカーが実験し発表しているからです。
世の中たくさんの塗料の種類がありますが、どの塗料も同じ塗布量になっているわけではありません。ただ、下地が傷んでいる場合は3回以上塗りを重ねた方が良い場合も多くあるのですが、基本的には塗り回数を増やしたからといってその費用分の得られる効果はない場合が多いです。塗膜が規定以上に厚くなってしまう事により、塗料会社が想定している範囲を超えてしまうことになりますので、乾きが悪くなってしまったり、塗料の本来の性能を引き出せなくなる場合もあります。重ね塗りの回数を増やすことは、イメージが良く塗装会社にとって、工事料金を簡単に上乗せできることになるのでその点で見るならメリットは十分ありますが、お客様から見たらあまり効果の無いものにお金を払うことにもなりかねないことになりますので注意が必要です。
勿論メーカーが指定している3回以上の塗りを行う場合、悪い意図でそのような提案もされる場合もありますが、メーカーが把握してない環境や場所によっては、メーカーが指定している塗り回数より多く塗る必要がある場合もあります。例えばサビがしやすい部分には4回塗りをしたり、劣化が激しい木部の部分は5回塗りをしたり。等々、メーカーが推奨するものより多く塗る場合は、必ず理由があります。このパターンに関しては塗る素材がメーカーの想定している状態(痛みが薄い安定した状態の素材)よりも大幅に傷んでいる場合が多いです。メーカーの想定しているものより傷んでいる場合、3回にしてしまうと下地がうまく形成出来ずに剥がれてしまう原因になります。また、海沿いであったり特殊な環境の場合なども同じく3回以上の回数を塗る場合が多いです。
例えば、下塗りを2回することパターンとして、住宅の外壁材は紫外線や風、酸性雨にさらされており、厳しい環境の中、住宅を守っているため、新築で建てられた住宅が1年経ち、2年経ち…と時間が経てば経つほど傷みは進んでいきます。塗替えをお考えになる10年から15年経った頃には建材自体が弱まっている場合が多くヒビ割れなどで傷んでしまっています。そこで弱まってしまった建材を元の強さに戻すための強化を行うのが1回目の下塗りの役割となります。高い浸透性の塗料を用いて建材自体に塗料を染み込ませる作業です。2回目の下塗りは上塗りの耐久性を高めるため、細かいヒビを埋め、しっかりとした防水膜を作る作業です。この作業を行うことで上塗りの塗料が劣化してきても下地の建材自体のヒビが埋められて防水膜が出来ていますので、雨水の侵入を防ぐことができます。その上で通常の中塗り、上塗りを行いますから耐久性の高い塗膜を作ることができます。1回1回の塗装に意味を考えての4回塗りならやる価値は十分あるとは思います。
このように状況に応じて塗り回数を変える必要はありますが、特に理由がなく回数を増やした提案をされてしまう場合もありますので、工事の説明をされた時に何故回数が増えているのか?は必ず確認されるといいかと思います。